自家用の飛行機に乗り込む。 普通の空港の飛行機に乗ったら何が起こるか分からない。 だから自分のもので行く。 もちろん椅子はファーストクラスのもの。多分エコノミーに乗ったらオレは苦情を言うだろう。 この椅子硬くて嫌だって言うと思う。偉くなったものだ。 ふかふかすぎて眠くなってくる。 しかも今日はほどよい暖かさだからね。 隣にいるリボーンは顔の上にボルサリーノの帽子をかぶせて眠っていた。 なんだリボーンも結構休んでいるんじゃん。 まぁ昨日まで仕事だったのに今日日本に行くっていう話になったから 少しは休んでもらわないと困るけど。 リボーンのことだからこんな話を聞いたら絶対寝ないだろうね。 プライド高いから…… じゃあ隣の奴も寝ていることだしオレも寝るとするか。 休・暇!だからね。 ゆっくりと瞼を閉じる。 すぐに夢の世界へはいっていった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「おい起きろ。ジャッポーネに着いたぞ。」 「…うぅん〜〜。」 大きく欠伸をして伸びる。 よく寝た。本当によく寝た。いい感じに疲れもとれた。 首をパキと二回ほどならして立ち上がる。 まだ少し眠い。こっちもいい天気だからまた眠気を誘ってきた。 こんなに寝たのにオレはまだ睡眠を欲しがっているのか? 階段を下り、日本の地面に降り立った。 久しぶりの空気。そして景色。 やっぱり故郷はいいものだ。もちろんイタリアもいいところだけどね。 ちょっとうかれた足取りで前に進むと、リボーンが嫌そうな顔をした。 そんなに嫌がらなくてもいいじゃん。久しぶりの日本だよ!! 荷物を持って目的地に向かう。 真っ黒に彩られた車に乗る。これはリムジンだ。 さっきの飛行機と同じく、椅子がふかふかしている。 誰もがあこがれる車にこうも簡単に乗れるなんて… 人生変わるものだね。 1時間程度すると、目的の建物が見えてきた。 豪華な高級ホテルだ。 結構いいところを頼んだんだね。そのお金はどこから集めたのか知らないけど。 ここの食べ物とかお酒は美味しいのかな? いつも高級食材で作った美味しい食べ物ばかり食べているから、味にはかなりうるさい。 自分でも自覚してしまうほどに。 だけど、母さんの料理のほうが一番美味しいけどね。 また嫌な予感が頭をよぎった。少しだけ頭が痛む。 もう『アイツ等』がいるのか。 楽しいのか楽しくないのか分からない。でも楽しまなければ日本に来た意味がない。 難しそうな表情をしているとリボーンが俺の顔を覗き込んできた。 大丈夫だから心配しないで。オレはあの頃のダメツナじゃない。 車から降りる。紳士のように美しく。誰もを魅了してしまうような動き。 お前にたくさん教えてもらったからな。 でも10には達していないだろう。 それがオレだからしかたないんだけどね。 真っ白なスーツに包まれたオレは昔と違う。 多分見ても分からないかもしれない。 それのほうが面白いけど。 カツカツと真っ黒な革靴が音をたてる。 ホテル内に入ると大理石の床で自分が少しだけ写った。 「リボーン。なんかドキドキするよ。皆どんな感じになっているのかな?」 「さぁな。自分の目で確かめろ。」 大きな広間に続く廊下を歩く。 BGMが流れて気分が高まる。 目の前にある大きなドアに手をかける。 ちょっと戸惑っているせいなのか、手が震える。 皆はどうなっているのだろう。気分の高まりは最高潮。 とそのとき自動的にドアが開いた。 引くものじゃなく押すものなので、顔にドアが思いっきりぶつかった。 手動ドアのはずなのに何故?身体が少し傾く。 リボーンがさりげなく傾いたオレの体を支えた。 うぅ……恥ずかしい////// 「そこにずっと立っていたのが悪いんだぞ。ダメツナ。」 「うるせーー!!」 文句を言いながら前を向くとそこには京子ちゃんがいた。 もっと恥ずかしい////// こんなところを見られてしまうなんて。 しかも初恋の相手に。 でもそこはなんとかポーカーフェイスを装って何もない顔をした。 「ツナ君久しぶりだね。」 「うん久しぶり京子ちゃん。また一段と綺麗になったね。」 イタリアにいたせいなのか、こんな言葉がすぐにでてくる。 少しだけボンゴレのボスになってよかったと思う。 それより本当に京子ちゃんは綺麗になった。 まだ幼さを残していた輪郭はシャープになっていた。 短めの髪の毛を伸ばしたのか胸にまで達している。 シックなスカートに身を纏いもっと美しさを際立てていた。 「//////そんなことないよ〜〜それより、ツナ君もかっこよくなったと思うよ。」 「ありがとう京子ちゃん。」 「ツナ君の隣にいる男の子は誰なの?」 男の子? それはリボーンのことなのかな? 顔がちょっとに妬けるとリボーンの凍てつくような瞳で見られてしまった。 すみませんでした。 「覚えていないかな?コイツはリボーンだよ。」 「本当にリボーン君なの!!?すっごくかっこいい!」 「そんなことはないぞ。京子は前にも増して美しくなっている。」 「ありがとう。リボーン君。」 やっぱりコイツはイタリア人だ。 女を大事にするのは当たり前の世界。大事にしなかったら男として最悪だ。 愛しているとかそこらじゅうで聞こえてくる。 褒めたりするのは得意中の得意。こんな言葉を聞いたらイチコロなんだろうな。 そのなかの一人がオレだけど…… リボーンはいつの間にかほかの女性人に囲まれていた。 もてるんだな。なんか悔しい。 オレだって男に磨きをかけたんだぞ。一応ね。 むくれた顔をしていると同級生の男がやってきた。 若干驚いたような顔をしながら。 でも少し嬉しそうな顔だった。 「おまえツナだよな?」 「うん。そうだけど…」 「本当に変わるものなんだな。こんな高そうなスーツとか着ちゃってよ。」 「まぁね。そーゆう仕事だし。」 「なんか言ったか?」 「ううん。なんでもない。」 同級生が離れていく。ちらりとまたリボーンのほうをみると女性人と話しこんでいた。 それは楽しそうに。ムカツクぐらい楽しそうな笑顔をうかべながら。 なんだよ。リボーンはオレのなんだぞ。 この歳になって妬くのは正直恥ずかしい。でも本当の気持ちなんだから仕方がない。 近くにあったワインを手に取る。 けっこういいワインだ。美味しそう。 このもやっとした気持ちを晴らす為に自棄酒でもしようか。 リボーンに後で何を言われるのかは分からないけど。 ワインのコルクを抜く。 キュッポンといい音をたてながら開いた。 いい香がする。本当にうまそう。 はしたないけどこのビンのまま飲んでしまえ。 口をつけて一気に飲み干す。 オレは結構お酒に強い方になったと思う。 1分もしないうちに飲み干してしまった。 近くを通った同級生が不思議そうな目でオレを見ていった。 なんだよ。オレは見せ物じゃない。 また近くにあったワインを手に取り飲み始める。 飲んでも飲んでも飲みたりない。 あぁ〜〜〜ムカツク。 と思いながらもう3本目突破。流石に酔いもまわってきた。 目が多少回る。 だけど飲みたりない。もっと飲まないと。 近くにあったワインを手に取ろうとした時だった。 「ツナいい加減にしろ。飲みすぎだ。」 「リボーン?」 さきほどまで女に囲まれていたリボーンがオレの目の前に立っていた。 仁王立ちというやつで。 女の人たちに囲まれてワイワイガヤガヤと騒いでいたのにも関わらず、リボーンの着ているスーツは一つも皴を作っていなかった。 「いいんだよこれぐらい飲んだって。リボーンも飲む?」 「テメェは未成年者に酒を飲ませるのか。」 「五月蠅い。タバコも普通に吸っているお前に言われたくない。」 「タバコぐらいどうだっていいんだ。それよりツナは自棄酒か?オレが女に囲まれているのがそん なに嫌だったのか?」 単刀直入だ。遠まわしに言ってこない。 ぐっとリボーンがオレに攻め寄る。これは本当のことを言わないとばれる。 というかもしかしなくてもリボーンはオレの気持ちなんて読心術でとっくに読んでいると思う。 それなのに聞くこいつがムカツク。 眉間に皴を寄せるとリボーンが銃を取り出しそうになったのでいそいで阻止する。 こんなとことで撃たれたらひとたまりもない。 意を決し言った。 「妬いていたんだよ!!何が悪い。」 「別に悪いとは言っていないじゃねーか。」 「五月蠅い!!!」 「お前がな。」 くっと身体が強張る。こいつの口には敵わない。 敵うなんてことは天地がひっくり返ったとしてもないだろう。あったらオレが困る。 近くにあった椅子に座ろうとした。 椅子はレトロな感じに仕立ててあり、少しお洒落だ。 きっと高いのだろう。 と言ってもオレのいつも座っている椅子の方が数倍高いと思うけど。 「どっこいしょ」と爺さんくさい台詞を言おうとした時だ。とても嫌な気配を感じた。 (マフィアだ)。 パリーンと窓ガラスが割れる。 ステンドグラスの綺麗な窓ガラスは木っ端微塵に粉砕された。 もったいない。この場に及んで変なことを考えていた。 次々と壊されていく。 同級生達は逃げ惑い悲鳴が部屋中に反響していた。 そのなかに銃の乾いた音も混ざっている。 皆を助けないといけない。 本当は自分のこの姿はみせたくなかったんだけど、そうも言っていられる状況ではない。 隣にいたリボーンにアイコンタクト。 さぁ楽しいパーティの始まりだ。皆と弄んであげるよ。 →next(後編)